CEマーキング/コンサル
EU指令
EU指令(欧州指令)は20以上ありますが、代表的な機械指令、低電圧指令、EMC指令、R&TTE指令の概要を説明します。

機械指令 Machinery Directive 98/37/EC

機械指令は1995年に強制適用とされた制度であります。
外来エネルギーによる搬送・加工処理の危険可動部を有する産業機械(金属加工機、組立機、食品機械、搬送設備、半導体製造設備、印刷機、包装機、ロボット等)が対象とされております。
機械指令は指令本文と付属書I〜IXにて構成され、特に付属書Iは安全衛生に関する要求事項として機械設計における重要項目となります。
機械指令にて取り上げられる危険には、機械的可動部による人体損傷、感電、火災、電磁波、薬液、圧力、誤動作等の巾広い範囲が規定されており、それら危険に対するリスク度合いと安全対策の検証を行うことが求められております。 また、指令適合を判定するためには機械指令用の欧州規格を用います。
機械指令用の欧州規格は現在では膨大な数が制定されており、タイプA、B、Cの大きく三区分に分類されております。
タイプA群の規格はENISO12100-1(基礎概念)、ENISO12100-2(設計原則)、EN14121-1(リスクアセスメント)の三つがリストされており全ての機械に適用されます。
タイプB群は機械の一側面を規定した規格であり、該当する規格を選択して評価に用いることになります。
タイプC群は個別機械用の専用規格であり、該当する規格があれば優先して用いることになります。
ここ10数年来、機械指令の制定とともに機械安全の取り巻きは欧州から世界に拡大し、日本におきましてもリスクアセスメントを意識した労働安全衛生法の改定等によりゆっくりでも着実に変化してきております。
現在の欧州規格の多くはIEC・ISOの国際規格と調和しており、IEC・ISO規格が制定されると国際条約により国内JIS規格として制定されてきます。  欧州規格は英仏独語の欧州公用語で作成されるため内容理解の前に言葉の壁により余計難しいイメージとなりますが、欧州規格の多くはほぼ同等の内容でJIS規格として制定されております。 EN規格英語版に合わせてJIS規格とのセットで活用されることが便利と考えられます。

機械指令 Machinery Directive 2006/42/EC

機械指令98/37/ECが新しい機械指令2006/42/ECとして生まれ変わります。 新しい機械指令は2006年に制定されておりますが一部の特例機械を除いて2009年12月29日より強制的に発効し、移行期間が設けられていないため12月29日の時点で全てが切り替わることになります。 それまでに出荷・市場流通する機械は98/37/ECへの適合が引き続き要され、12月29日以降は新しく出荷される機械およびそれまでに98/37/ECでの適合性評価を実施していた機械・部品のリピート出荷については2006/42/ECでの適合性評価が要されてきます。

98/37/EC、2006/42/EC、いずれも欧州が考える機械安全ベースの規定でありますので基本的な考え方に大きく相違する事項、構造面での大きな変更事項はありませんが細かい変更はとても多くあります。 制度上、および構造要求上にて主な相違点として次のようなものがあります。
  1. 適用範囲(Art1 1.): 機械、互換交換機器、安全部品、昇降関連機器、チェーン・ロープ、可搬型機構伝達部品、半完成品が指令の適用範囲に明記されました。 速度0.15m/s以下のホイスト・リフト・関連付属品は機械指令の対象範囲となり、それ以外はリフト指令95/16/ECの適用範囲となります。 また、半完成品としての語句が適用範囲に加えられ半完成品はそのルートによる適合性評価、宣言書、表示、技術ファイル編集が要されてきます。
  2. 除外製品(Art1 2.): 低電圧指令との相関、境目が以前から検討されてきておりましたが、家電製品、オーディオ・ビデオ機器、情報処理機器、事務用機器、スイッチ・制御機器、モーター、高電圧機器、トランスフォーマ等は除外品目として明記されております。 危険の要因が主に電気によるもの、および可動部による危険が存在しない機器は機械指令からは除外されることになります。
  3. リスクアセスメント(AnnexI 1.): リスクアセスメントの実施要請とその手順が明記されました。 まずは、機械の仕様限界、意図される使用、および合理的に予見可能な誤使用について検討を行い、機械のライフサイクルにおいて発生する危険を特定し、危険リスクの度合いを見積り、その分析によって許容可能なリスク度合いまでに落ち着いたかを評価することになります。 ISO12100-1、5.1.3項と相互参照することでより良い理解が得られますが、機械の設計におきましてはリスクアセスメントの実施とその書類化は重要な位置付けとなることに変わりありません。
  4. 表示(AnnexI 1.7.3.): 機械名称の表示が追加されました。 全ての機械には、製造メーカー名・住所、機械名称、CEマーク、型番モデル番号、製造シリアル番号、製造年の表示は最低限の項目として要されてきます。
  5. 取扱説明書(AnnexI 1.7.4.): 取扱説明書は欧州公用語(英・独・仏)または機械が据付けされる現地言語にて作成が要されていることに変わりありません。 欧州公用語にて作成されたものを原文とし、原文取説には「Original instructions」の文字を明記、原文を元に現地言語に翻訳された翻訳取説には「Translation of the original instructions」の文字を明記することが要されてきます。

欧米の安全に対する考え方はご承知のように日本のこれまでと大きな差があります。 欧米のそれは産業革命以降、技術を持って安全を単純に構築し、可能限界まで機械に発生するリスクを低減し、残留するリスクについてはユーザーに明示していく手法によって労働者に対する安全の確保が取られてきました。 その結果、新旧機械指令のそれぞれに多少の変更はありますがそのほとんどはごく当たり前の技術的な標準であり、日本の製造メーカーもそれらをすでに気づかれていることと思われます。 日本は優秀な労働活動により製造レベルが向上し、社会の経済の活性・発展が行われてきたことは確かではありますが、欧米と比較しますともともとの文化、安全およびリスクに対する考え方、事故責任のあり方、保険制度、残留リスクの明示、機械から得られる有益性等、それぞれの側面で安全に対する考え方に異なりがあります。 欧州におきましてはCEマーキングの制度が強制的に適用されておりそのような背景面でも異なりはありますが、国際的な条約または協定によりIEC・ISOおよびJISにおきましては統一規格となりほぼ同様な要求事項が世界標準となりつつあります。

アールエフ・テクノロジーでは、設計段階からの図面チェック、実機での構造チェック、リスクアセスメント、技術的なコンサルテーション、安全・EMC試験の実施、書類の整備、規格・指令の解説等、機械安全・EMCに関わるこれまでの信用と実績を基に、お客さまにそのノウハウが残せるような対応を心がけて業務を実施させて頂いております。


■機械指令に関わる欧州規格
規格群 用途・対象範囲
Type A(基本規格) 機械全般について機械安全の概念を示した規格群。 全ての機械に適用。
Type B(共通規格) 機械構成上の部分的側面を規定した規格群。 機械の該当側面に適用。
Type C(個別規格) 個々の機械を規定した規格群。 該当規格があれば優先して適用。

■Type A(基本規格)
欧州標準 国際標準 JIS タイトル
ENISO 12100:2010
(12100-1,-2、14121-1 統合)
ISO 12100 JIS B9700-1
JIS B9700-2
機械安全の基礎概念 - リスクアセスメント

■Type B(共通規格)
欧州標準 国際標準 JIS タイトル
EN 349:1993/A1:2008 ISO 13854 JIS B9711 押しつぶしをさけるための最小隙間
EN 574:1996/A1:2008 ISO 13851 JIS B9712 両手制御装置の設計原則
EN 953:1997/A1:2009 ISO 14120 JIS B9716 ガード
EN 982:1998/A1:2008 - - 油の流体システム
EN 983:1996/A1:2008 - - エアの流体システム
EN 999:1998/A1:2008 ISO 13855 JIS B9715 人の接近速度・安全装置の配置
EN 1088:1995/A2:2008 ISO 14119 JIS B9710 ガードに連動するインターロック
EN 1672-2:2005/A1:2009 - - 食品加工機 - 衛生面
ENISO 13732-1:2008 ISO 13732-1 - 表面温度の限界値
ENISO 13849-1:2008 ISO 13849-1 JIS B9705-1 安全制御システムの設計原則
ENISO 13850:2008 ISO 13850 JIS B9703 非常停止装置の設計原則
ENISO 13855:2010 ISO 13855 JIS B9715 人の接近速度・安全装置の配置
ENISO 13857:2008 ISO 13857 JIS B9707
JIS B9708
上肢・下肢から危険部位までの安全距離
ENISO 14122-1:2001 ISO 14122-1 JIS B9713-1 階段、はしご、プラットフォーム
EN 60204-1:2006/A1:2009 IEC 60204-1 JIS B9960-1 機械の電気一般

■Type C(個別規格)
欧州標準 国際標準 JIS タイトル
EN 201:2009 - - 射出成型機
EN 415-1:2000/A1:2009 - - 包装機
EN 422:2009 - - ブロー成形機
EN 693:2001/A1:2009 - - 油圧プレス
EN 1010-1:2004 ISO 12648 JIS B9631 印刷・紙処理機械
ENISO 10218-1:2008 ISO 10218-1 JIS B8433-1 産業用ロボット
EN 12417:2001/A2:2009 - - マシニングセンタ
EN 12463:2004 - - 食品充填機械
EN 12921:2005/A1:2008 - - 表面洗浄・処理装置
EN 13128:2001/A2:2009 - - フライス盤
EN 13218:2002/A1:2008 - - 研削盤
EN 60745-1:2009 IEC 60745-1 JIS C9745-1 電動手持ち工具
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